私はTさんに、どの様な霊体験をされたのかお聞きしました。「小さい頃から不思議な体験をしてきました。今の勤め先や自宅でも見た事があります。腰から下が透けている男であったり、首の無い子連れの女、焼けタダレた服を着た男、片目を失った軍人さんなど、、状況はさまざまです。でも、先生に言われてひとつ気付いたのが、いつも、畳や絨毯に水がしたたる音がしていたんです。それは、母のお兄さんの霊ですかね?。」「お家の状況を見てみないと分かりませんが、一度お伺いしても良いですか?。」「ハイ、有難う御座います。では、先生のご都合はいかがですか、、。」と言われ、後日Tさん宅にお伺いする事になりました。滋賀県M市から田畑に囲まれた集落にTさんのご自宅はありました。中古のお家を買われた様で、何度かリフォームをされているお宅でした。玄関付近に来たところで、既に霊気が立ち込めており、昼間だというのに、薄暗く感じました。入った途端、負のオーラが立ち込めていて、呪縛者独特の匂いが致しました。霊体はいくつか有りましたが強い恐怖を感じるモノはなく、そのまま仏間に入りました。「先生、実は母の三回忌を終えたばかりで、先日御住職に来て頂いてお経をあげて貰ったんですが、まだ家に居ますよね、、それから、先日先生のところにお伺いした折、祖母の長男の話しをされた時、母が生前私には兄がいてね、、とよく話していました。亡くなる3日前、母の見舞いに行った時も兄がいてたら店が続いていたのに、、と涙ながらに話していました。」とTさんは、お母様の遺影を眺めながら話して下さいました。仏壇の中にあるのは、阿弥陀如来様でした。古い過去帳を見ると、祖父の兄弟も若くして亡くなっており、お母様の兄以外にも水子が2体ほど有ったりと、男性ばかりが早く亡くなっている印象を受けました。あらためて、Tさんの場合は祖母の長男が未成仏になって、Tさんに霊的な影響を及ぼしている様に思いました。そう思っていると、2階から誰かが降りてくる足音がしました。「先生、今聞こえたでしょ、、お前も聞こえたやろ、、ほら、やっぱりいるやろ、、。」と奥様の方をみた瞬間、玄関の方で「ガチャン、、。」と大きな音がしました。私達はその音の鳴る方に向かうと、その正体は玄関に飾ってあった縦長の額が落ちていたのです。Tさんは額裏のヒモを見ながら「こんな丈夫なヒモが切れるなんて、、不思議に思わんですか、、。」と、自分の人生を嘆くかの様に、私に訴えました。Tさんの足元には、額のガラスが粉々に割れて、キラキラと光っていました。 次回つづく