先日、和順庵にペットの事でご相談に来られました。仮にOさん50才独身女性とします。Oさんは、14才になるペットのワンちゃん(Aちゃん)の手術をした方が良いのか、、迷っているとの事でした。指の間が異常に腫れ上がり、ガンの疑いが有るとの事で検査することに、、。いつも診てもらっているE動物病院では「人間と違って、ワンちゃんの場合は判断が難しいので、足のシキソを取って調べなければなりません。ですから、一部肉球を削ぎ落とす事になり手術となると、指を切除する事になります。Aちゃんは、高齢ですので、無理をさせない方が良いですよ。この犬種の平均寿命は13才〜15才位と言われていますから、薬を飲みながら様子をみられてはいかがでしょう。」と言われたそうです。ペットとはいえ、家族同然に過ごしてきたOさんにとって、何とかしてやりたい気持ちから別のM動物病院を訪ねました。「このワンちゃんの場合、ガンだと指を切除する事になります。また、触手では有りますが、左下部乳房付近にシコリが有りガンの疑いがあります。乳腺当たりまで拡がっているかもしれませんから、胸辺りから下腹部辺りまで切る事になります。左右切除した方が、後々転移の恐れが有るので切除しましょう。まずは、こちらの手術をしてから足の手術とさせて頂きます。」と、淡々と説明された様です。予想外の展開に驚かれたOさんは、Aちゃんが切り刻まれる事を想像され、自分ではどうしたら良いか判断出来ず、和順庵にお越しになりました。「先生、誰も相談する人が居ないのでどうしたら良いか、、。」「分かりますよ、、。私は自然に負かすしかないと思います。医療が発達した今、延命も望ましい事ですが、散り際も大切な様に思えます。もし、手術をして元気になったとしても、また死の恐怖が影の様に追ってきます。生き物はいずれ亡くなります。残された時間を大切に過ごす事こそ、Aちゃんの為だと思います。」「分かりました。E動物病院では、Aちゃんは、大人しく先生の治療を受けていましたが、M動物病院で先生の診察が始まるとぶるぶる震え出し、触診の時にオシッコを漏らしました。こんなのはじめてなんです。」「恐らくAちゃんは、自分に何が起こるのか、、悟ったんじゃないですか。この子は、人に愛される為に生まれてきたと思います。ご主人様の悲しむ顔だけは見たくないと思いますよ。」翌日、Oさんは元のE動物病院へ行き、今後の治療について相談に行かれた様です。私の判断が正しいかどうかは分かりませんが、私の両親や弟の死を乗り越えた人間だからこそ出た、アドバイスだったと思います。
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