「Sさん、護摩供養はご存知ですか、、。護摩供養とは供養の中でも、最大にして最強の供養となります。菩提寺で、十分供養をされていると思いますが、現状を理解せず供養しても、効果がない様に思います。例えば、本来外科手術が必要なものを、薬だけの処方で終わっていれば、益々悪化してきます。内科の判断で薬だけで良いのか、手術が必要なのか、見極めが必要です。」「では、先生は護摩供養という手術が必要と言うのですか、、。」「病気もそうですが、護摩供養をしたからと言って、良くなるとは限りません。鍛錬を積んだ行者でないと困難な場合もあります。地元で、良い密教行者が居れば、訪ねられては如何ですか、、。」「先生みたいな、見立ての出来る先生にして頂きたいです。初めてお会いするのに、私の事を見透かしている様で、本当に驚いております。」「私は、若輩者で名医ではございません。貴女の期待に添えないかもしれません。」「それでも構いません。この歳になって、今更という気持ちもありますが、生きている者の勤めと思って、供養をしてあげたいのです。」と、Sさんは深々と頭を下げました。正直なところ、Sさんの先祖供養はお受けしたくなかったのです。それだけ、困難な相手の様に思えました。幾度となく、この様な場面と向き合ってきましたが、その都度体調を崩したり、大きな病気になったりするので、覚悟が必要です。ですが、生涯修行僧の道を歩むと決意した時から、人の役に立つのなら、、あるいは、私にしか出来ない事なら、、この命、、少しも惜しいとは思いません。仏道とは、そういうものであると、私は思います。
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