Aさんの父親70歳は、長男で姉一人居たそうですが、早くに亡くなられた様です。父親を鑑定すると、両親からの愛情が希薄な様に思いました。それだけではなく、災難に遭遇している様な命式になっていました。「ご主人、ご両親はもう、お亡くなりになっていますか?」「母は私を産んで直ぐに亡くなり、父親も私が3歳の時に亡くなりました。」「そうでしたかぁ、、アッ、、自分が僧侶である事を忘れていました。すみませんが、仏様にご挨拶させて貰っても良いですかぁ、、。」「はい、、どうぞ、こちらへ、、。」と、仏間に案内下さいました。いつもなら、お家に招かれた時は、仏間でお経を唱えてから鑑定に入るのですが、旅行気分が優ったのか、順序が逆になってしまいました。応接室を出て、廊下を歩いていくと、左手に立派な庭が見えてきました。その奥の右手が仏間の様です。案内されて入ると、一間(180cm)はある立派な仏壇があり、その右上には、何代も続く先祖の遺影が飾ってありました。その中で、一番新しい子供の遺影に釘付けとなりました。その遺影は、幼い女の子の肖像画でした。「この方は?、、。」「私の姉です。実は、姉は事故で亡くなっておりまして、ハッキリとした理由は分からないのですが、、。」と、あまり触れたくない過去がある様でした。ご主人は、厳格なところがあり、娘さんもこの頑固なところに反発心を抱いているのではないか、、。そんな事を思いながら、ご両親に鑑定結果をお話し致しました。「ご主人、貴方は両親からの愛情が希薄なところがあり、子育てについて、どう向き合っていいか悩まれたのではないですか、、?長女には、かなり厳しく教育されたのではないですか?」「その通りです。私は、祖父母に育てられました。祖父は、厳格の人で、姉や私がイタズラをすると、直ぐにゲンコツが飛んできて、そのまま家の蔵に涙が枯れるまで二人で閉じ込められました。その事も有って、長女が幼い頃イタズラすると、同じ様に蔵へ閉じ込めた事がありました。やはり、、先生、、それが原因ですかね、、?」「あの、、この遺影のお姉さんですが、どこで亡くなったんですかぁ、、?」「父親が亡くなってから丁度3年後だったと思います。家で亡くなっていたので、祖父が警察の人と話している位しか記憶にございません。姉とは、いつもケンカばかりしていたので、仲が良い訳では無かったと思います。姉は、母が亡くなったのは私のせいだと思っていました。」話しを聞く内に、どうしても蔵の存在が気になりました。「ご主人、その蔵を見ても良いですかぁ、、。」「はい、、ですが、昔の農機具やらで散らかっていますが、、。」「かまいませんよ、、。では案内して下さい。」と言って、一旦家の外に出ました。蔵は納屋の隣りに有りました。蔵には、豆電球ほどの灯りしかなく、室内は薄暗く冷凍室に入った様な寒さを感じました。蔵は二階建てで、一階には農機具や祖父の趣味で集めた骨董品が、山の様に積まれていました。二階も同じく骨董品と、大きな木箱が有り、その隅の方に、何か祀ってあるのを発見しました。「ご主人、これはなんですか、、?」「私もよく知らないですけど、祖母が朝になると水とご飯を御供えしているのを見た記憶があります。」小さな祭壇の中を覗くと、そこには観音菩薩像が祀られていました。その時でした。一瞬、誰かに見られている様な視線を感じました。何か、助けを求める様な、、霊気を感じとりました。 つづく