先日、矢田寺を参詣致しました。
ここは光仁7(816)年に日本で初めてつくら
れたとされる地蔵菩薩がご本尊のお寺。この
お地蔵様は代受苦(だいじゅく)地蔵と呼ば
れ、人々の苦しみを代わってくださるといわ
れています。なぜ、このお地蔵様が苦しみを
代わってくれるのかというと、こんな説話が
残されています。
閻魔大王といえば、死者の魂を天国に行くか
地獄に行くかを決める裁判官。平安時代、こ
の閻魔大王は矢田寺の住職だった満米(まん
まい)上人から菩薩戒(ぼさつかい:菩薩が
受持する戒)を受けました。その時、上人は
閻魔大王に「地獄を見せてください」と頼み
ます。上人が閻魔大王から地獄を見せてもら
った際、炎が煮えたぎる鉄釜の中に一人の僧
侶がいることに気がつきます。よく見ると、
僧侶は鉄釜の中にいる人を助けているので
す。もちろん、鉄釜に入っている人間は現世
で罪を犯した罪人です。その姿に感銘を受け
た上人は、その僧侶の姿を仏像に刻み、ここ
に安置したといわれているのです。
また様子が描かれた「矢田地獄縁起絵巻」
が、矢田寺に遺されています。
さらに、このお地蔵様には安産祈願・子孫繁
栄・病患悉除・万霊供養の霊験があるといわ
れています。