Ａ君の様子がおかしいので、隣人はＮ社長に相談された様です。Ｎ社長は、Ａ君を呼び「Ａ君、実家に帰りなさい。君が怪我を負った時、君の両親に連絡したら、相当心配なさってたよ。そう言えば、ウチの家内が言っていたけど、家にほとんど連絡していない様だね。ウチの電話を使って良いから電話しなさい。」と言われたのですが、Ａ君は「大丈夫です。長い間、休みを貰い、スイマセンでした。今週で足のギブスが取れるので、来週から少しづつ仕事させて下さい。」Ｎ社長は「大丈夫かね、、。顔色も悪い様だし、少し痩せたんじゃないか、、。病み上がりだから無理をしない様にね。来月は、丹波篠山の土木工事の仕事が入っているから、班長に言っておくから、、。」結局、Ａ君は仕事を続ける事になりました。季節は7月、夏日にも関わらず、Ａ君は丹波篠山の仕事に向いました。同行した班長が「Ａ君、今日の予定は、現場周りの草刈りを頼む。その雑草を袋に入れて裏山の茂みにまとめて置いてくれ。後でゴミと一緒にトラックで運ぶから。それと、今の季節ヤマカカシと言う蛇がいるから、気をつけて、、。」到着したＡ君は、草刈り機を使って、現場周りの草を刈っていきました。すると、Ａ君が「アッ、、。」と叫んだので、近くにいた職人がＡ君の側に駆け寄ると、胴体を真っ二つに切れた蛇が、血を流しながら苦しんでいました。「Ａ君、大丈夫かぁ、、。怪我でもしたのかと思ったよ、、。蛇が死んだら、スコップですくって、裏山に捨ててくれ、、。この調子だと、3日はかかりそうだね。あの裏山のところ迄だから。明日、会社から余分に燃料を持って来て作業してね。」初日の作業が終わり、ライトバンの車中でＡ君が布袋を持っていたので、従業員の一人が「Ａ君、それ何やぁ、、。」と尋ねると、裏山にあったビワを貰ってきたと言いました。「そんなん、自然に生えているヤツやから、美味しないで、、。」と言われましたが、Ａ君は気にする様子もなく、次の日も、また次の日も、布袋を持って帰りました。1週間の工程を終えて、班長達グループは、久しぶりの休みを貰った様です。その日は、朝から雨が激しく降っていました。それぞれ、各部屋で、テレビを見たりトランプしたりと寛いでいました。すると、下の方から「アーッ、アーッ、ハッハッハッ、、。」と叫び声と笑う声が交差して聞こえてきたので、部屋の皆が窓を開けて下を見ると、Ａ君がひざまずき、空を見上げ、激しい雨にうたれながら叫んでいました。 次回つづく
