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曰く付き土地③

小学生だったKさんは、その日の状況を覚えており、自宅の2階から救急車で運ばれるA君の姿を見たそうです。結局、A君はその日を境に、実家のある佐賀に帰りました。その後のA君の事は分からない様ですが、A君の隣人の話では、丹波篠山の仕事帰りの車中で「A君、毎日袋に枇杷を持って帰って、、相当好きなんやなぁ。」「オシロイ婆さんのお供えやぁ、、。」「オマエ、大丈夫かぁ、、。部屋に仏壇が有るとか言ってみたり、夢でも見てるちゃうかぁ〜。そのオシロイ婆さんって、誰やねん。」「もうすぐオシロイ婆さんが、仏壇の扉を開けて出てきて、俺を連れてってくれるんやぁ、、。」「何処に行くんやぁ、、。」「天国みたいなとこやぁ、。」と、意味の分からない事を言っていたそうです。突然のA君が退去した事も有り、私物がそのままになっていました。N社長の依頼で、隣人二人が、A君の私物をダンボールに詰め込んでいると、押入れから「トン、トン、トン、。」と、何かに当たる音がしました。隣人の一人が「A君、何かペットでも飼っているかなぁ、、。何か、動いてないか、、。」と得体の知れない存在が、音をたてながら押入れから聞こえてきました。隣人の一人が押入れのフスマを開けてみると、そこには一升瓶の中に、焼酎を3分の1に入れた瓶の底から蛇が、注ぎ口に向かって突き上げれる様に、何度も当たっていたのでした。中には口から血を流して死んでいる蛇がいたり、異様な光景に隣人二人は、他の仲間を呼びにいったそうです。皆で、押入れの中を見ると、一升瓶が6本有り、いずれも蛇が生きたまま入れられており、その傍には布袋5枚ほど有って、中でうごめく蛇が入っていたのでした。丹波篠山の現場で、枇杷を持って帰っていたというのは、どうやら蛇を捕まえて布袋に入れていた様でした。一升瓶の注ぎ口は、蛇が入れやすい様に、カットされており、白い布切れで塞がれていました。作業中に手を切ったのか、布には血痕が付着していた様です。数日後、部屋は片付きはしたものの、203号室は開かずの間になって、同じ2階の住人も、次第に退去していきました。それ以来、2階部屋は閉される事になりました。それから、数年が経過し、N社長の会社は、地元九州に帰る事になりました。当初の約束通り、N社長は2階建てプレハブ部屋を、解体し退去されました。そんな事が有ったせいか、Kさんの父親は、平地になった土地を以前の様な、駐車場として貸し出す事は有りませんでした。Kさんは、父親から引き継いだ土地を、両親が亡くなったのを機に、売却をされたのでした。この話を聞くまでは、不動産屋に申告しなくてもと思いましたが、結局のところ、曰く付き土地ではないかと思う様になりました。後日、Kさんと共にその土地を見に行きましたが、既に区画整理されており、買い手もついていそうな雰囲気でした。立地的にも、駅や小学校も近い事から、若い人向けには、最高の立地条件だと思いました。ですが、Kさんの話しを聞いてしまえば、躊躇する人も出てくるかも知れません。

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