Tさんの話しでは、Ａさんが20代の頃、勤務先の上司と不倫関係に有った様です。その上司にはガンを患う奥様がいて、二人の関係に気付いた奥様は、上司の友人に不倫相手の事を相談された様なんです。その後、奥様は闘病の末に亡くなられたんですが、、上司が遺品整理していたら、奥様のガン闘病日記が出てきた様です。その内容は、夫婦で病気を乗り越え様とする決意が書かれていたり、二人の間に子供が出来なかった事を悔いる内容等が書かれていた様です。ところが、末期状態の一番苦しい時期辺りから、自分の病気の事よりも夫の不倫を悲しむ恨み事が詳細に書かれていた様です。それを見た上司は、友人の勧めも有りＡとの関係を絶つ事を決意されました。実は上司の友人は学生時代、上司と同じサークル仲間で、奥様もそこで知り合った様です。ですから、友人は二人から色々と相談を受けていた様なんですが、結局何もしてあげる事が出来なかったと悔やんでおられました。その話しを聞き終えた時、Ａさんの娘さんもまた上司の奥さん同様、愛する人の事で悩まれていたのではないかと、、。でも、どうして私に苦しみを与えたのか？他に何か伝えたい事があるのか、、。すると、その日の夜中に一本の電話がかかって来ました。「もしもし和順庵ですが、、、。」応答がありませんでした。「どちら様ですか、、。」テレビの音に混じって、女性が言い争う音が聞こえてきました。イタズラ電話と思い電話を切りました。着信を見るとＡさんの電話番号からでした。こんな時間に誰と話していたのだろうか、、。その時ふと、昼間の痛みを思いだしました。Ａさんは今も尚、上司の奥様の亡霊に悩まされているのではないか、、。その様な事を思いながら、眠りにつきました。
