祈願にも色々あって、合格祈願・健康祈願・良縁祈願・商売繁盛・子宝祈願等、中には復縁や縁切といった特殊なケースもございます。先日、以前から和順庵をご利用下さるＫさん75歳から、お電話を頂きました。「先生、ご無沙汰してます。急なお願いで申し訳ないですが、Ｓさんが急に倒れて危篤状態なんです。先生、何とか助けて下さい。」「Ｓさんと言うのは、例の会社を立ち上げた方ですか？」「そうです。そのＳさんが、脳出血で病院に運ばれましたが意識不明なんです。」と、Ｋさんは自分の息子の様に懇願されました。ですが、電話の向こうから聞こえるＫさんの雰囲気から、相当重篤である事がうかがえました。和順庵には、大病と向き合いながらも精一杯生きようとされる方々が祈願でおみえになります。「先生、今年も何とか生かして貰いました。これも仏様のお陰です。」と、神仏を敬い感謝されている姿をみると、自分の事の様に良くなって欲しいと、心から念ずるのです。Ｓさん58才は、Ｋさんの居酒屋で長年板前をされてきました。そんなＳさんが、今から3年前に自分の夢であった部品制作工場設立に向けて、Ｋさんの協力の元計画されていました。和順庵にはＳさんではなく、いつもＫさんが祈願し、ご相談にこられていました。「先生、助かるでしょうか、、。Ｋさんには色々と世話になったので、何とか助けてやりたいのです。」「Ｋさん、お気持ちはわかりますが、こればかりは、何とも言えません。」と言って、早速祈願の準備に取り掛かりました。祈願も終盤に差し掛かった頃、急に虚しい気持ちになってきました。その時、Ｓさんは相当苦しい場面に直面していると思いました。そんな日が続いた3日の夜、私は不思議な夢を見ました。それは、湖面に船が浮かんでいて深い霧が立ち込めていました。よくみると、船の上に人影が背中越しに見えるのです。波が揺れるのと同時に、その人影も揺れていました。朝、目が覚めると夢の事もあって、だれよりも優先にＳさんの祈願を致しました。ですが前日同様、虚しさが強く感じられました。それから2日経った夕方にＫさんから電話が入りました。「先生、今朝方Ｓさんは亡くなりました。今、親族の人が来て挨拶されて帰られました。」「お役にたてず、すみませんでした。」「いえ、先生に電話した時に助からないと思っていました。いつもなら、分かりましたって言ってくださるのに、こればっかりは、、って言われたので、今回は無理だなって思いました。先生には、私の病気やら無理な事ばかり相談させて貰って、良くして下さり私は十分です。」と、言って下さりました。その言葉を聞いて、少し心の負担が無くなりました。
