霊の存在なんて信じないと、言われる方もいらっしゃいますが、私も当初「目に見えないモノ」は、信じる事が出来ない方でした。私が初めて霊体験をしたのが中学生の頃でした。ですが、当時は幻覚を見たと思って、誰にも相談しませんでした。それは、部屋で寝ていると急に身体が動かなくなり、部屋の隅の方から小さな白い物体が近づいてきて、段々と大きくなりながら人の形になって、しまいには人の顔迄ハッキリと見えて来るのです。それは、老婆の顔であったり子供の顔の時もありました。この様な経験は、年齢を重ねる事に段々見なくなっていきました。ところが、僧侶となり修行に入った頃から再び不思議な現象が起こり始めたのです。
さて、前回の続きですが、お経を唱えだして暫く経つと、2階を歩く足音が止みました。ところが、私の後ろで合掌していたNさんの奥様が急に泣き出しました。気になったので、奥様に「大丈夫ですか。」と声をかけると、落ち着かれたのか「先生のお経を聞いていると、急に悲しくなってきて、気付いたら涙が出ていました。」と言われました。それから、各部屋を周りながら錫杖を鳴らし、不動明王のご真言を唱えました。加持祈祷を終え、リビングに戻ると気のせいか、どんよりしていた空気感が、スッキリと部屋が明るくなっている様な気が致しました。今回、霊の存在を断定できませんでしたが、後日ラップ音や人が歩く様な音はしなくなった様です。ですが、暫く経つとこの様な現象は再び起こる様な気がしました。それだけ未成仏の存在は、我々が考えている以上に、はるかに多くいる様に思えるのでした。
