体力維持を努める傍ら、ワンコの散歩が日課になりましたが、そのワンコも老犬になり、家の中でオムツ生活になりました。本人は、慣れないオムツに、違和感を感じるのか、部屋を歩き回る事が増えました。ですから、なるだけ短時間散歩を複数回行きながら、出来るだけ、オムツを付けない工夫しています。ある日の事、いつもなら寝ている時間帯に、ワンコが部屋を歩き出したので、オシッコを催したと思い、散歩に出掛ける事にしました。時間は夜中の2時半頃でした。我慢していたのか、家を出たところで、早速オシッコをしました。それを見て帰ろうとすると、ワンコが歩き出したので、もう少し付き合う事にしました。私の自宅周りは、高齢化の影響もあり、空き家が目立ちはじめました。すると、ある一軒の家迄来ると、急にワンコの足取りが重くなり、、立ち止まってしまいました。「もう、帰る？、、。」と、声をかけましたが、一向に動く気配がないので、ワンコを抱き上げました。すると、空き家の方から子供の喋り声が聞こえてきました。ここには、誰も住んでいないはずと思いつつ、気になったので、その場に少し佇んでいました。以前、ここには老夫婦が住んでいましたが、ご主人が亡くなった後、奥様はこの家を出たと聞いていました。すると、今度は母親らしき存在の声がしてきました。ひょっとすると、防犯がわりに親族がテレビかラジオを流しているのかもしれないと思いました。会話というより、母親が話すと子供が喋りだすといった感じに聞こえました。その声は、私達が立ち去るまで、聞こえていました。そんな事が有り、数日後、町内会の集いが有り、私の隣にいた男性が、例の空き家について話していました。「あの家も中々売れんなぁ、、。」「そらそうやろ、、。孤独死されたら、中々売れんやろ、、。」と話されていたので、つい気になって、話の中に入ってしまいました。「すみません、あの家は、売りに出されているのですか？看板も出てない様ですが、、。」「専属契約されてて、出してない様やなぁ。まぁ、物騒な時代やから、敢えて出してないのと違うかぁ、、。」「孤独死って誰が死んだんですかぁ？」「あ〜、それは婆さんやぁ。ケアマネが来た時には、死んでたみたいやわ、、。」「そうでしたかぁ、、。じゃあ、あそこの家は、その専属契約した不動産屋が管理しているんですね。」「京都の不動産屋らしいけど、たまにしか来ないみたいやわぁ、、。家の前の雑草刈ったり、掃きそうじは、お隣さんがしているみたいだし。」「因みに、防犯とかされてますかぁ、、。」「そんなん、聞いた事ないで、、なぁ、、。」と、お隣の方も、その事に頷かれました。ですが、私が体験した夜中の出来事は彼等には話しませんでした。あの時の母と幼な子の声は、一体なんだったのか、、。未だに不思議でなりません。
