Ｔさんの様な人は、決して珍しくは無い。教育に厳格な親は、Ｔさんの様な人が多い。子供が少しでも、苦労せずに社会で生きていける様にとの親心からだろう。だが、息子さんの様な性格が優しい子供には、この様な教育方針をしてはいけないと私は思います。また、今回の様に夫婦別々で相談に来るのは良く無いと思いました。船を航行するには、船頭と舵取りがいなければ目標地点に到着出来ません。奥様が、どの様な相談でお越しになるにせよ、ここは夫婦団結して息子さんの対応に当たるべきと思います。「Ｔさん、息子さんの教育方針で奥様と喧嘩ばかりされている様ですが、夫婦の関係が修復出来れば、この問題は解決に向かうと思いますよ。」「妻との関係ですか、、？」「そうです。息子さんの事で毎日、奥様と喧嘩しているのは、息子さんの気持ちが、益々閉ざされる様に思います。」「では、仲良くやれと、、。」「そうです。Ｔさんのところは、例えて言うなら暗闇の中で、ローソクが消えた状態です。ですから、それぞれが彷徨う事になるのです。貴方が心の灯火を照らす事で、奥様や息子さんは貴方に近づいて来ますよ。「そんなんで、良くなりますかね。」「はい。奥様を大事にされる家は、お金に苦労しません。お金で苦労するという事は、心に余裕がないのです。以前、鬱病を患う方の相談が有り、その方が私の両親はいつもケンカばかりしていますと、、自分の持病よりも両親の事を心配していました。子供は両親が平和で無ければ、希望を見出せないのです。ケンカしたら、貴方が折れてやれば良いのです。先ずは、奥様を大事にするところから始めて下さい。」「分かりました、やってみます。」数週間後、奥様と息子さんが和順庵に来られました。息子さんの鬱病は軽度の様に思いました。私は息子さんに「ご両親は仲が良いですか？」と尋ねると、、「ここに来てから良くなったと思います、、。」と、少し笑みを浮かべていました。Ｔさんがようやくローソクの火を灯された様です、、。
