私は、Ａ社長に連絡をとり続ける事に致しましたが、中々繋がりませんでした。商売だから、こんな事も有るか、、。半ば諦めかけた時、Ａ社長から電話が入りました。「先生、すみません、、。会社、倒産しました。口座には一銭のお金も残っていません。すみせん、先生にお支払い出来ません。申し訳ございません。」「Ａ社長、私はお金の事は、商売だから仕方無いにしても、どうして人を欺く事をするんですか、、。私はソコが悔しくてなりません。息子さんや亡くなった奥様に、申し訳ないと思わないんですか、、。誰だって、苦しい事はございます。正直に言って下されば、諦めもします。」「すみません。今はこれしか、応え様がございません。」と、言われて電話が切れました。声の様子から、相当追い詰められている様に思いました。私が息子さんや奥様の事を言ったのは、以前二人の開運に向けて護摩供養をした事が有ったからです。特に、奥様の病気平癒は、亡くなられる直前迄、行じていたと思います。その恩義も有ってか、Ａ社長は電話して来たのだと思いました。本来なら、色々と法的処置もあるのですが、どれだけやった所で、これ以上問い詰めても無駄だなぁ、、と思い、翌日、気分転換に滋賀県守山市にある「おうみんち」に、仏前のお供え物と、亡くなったペットのお花を買いに行く事にしました。「おうみんち」は、JAが運営する野菜直売店です。何処よりも新鮮で、和順庵のお供え物や仏花は、コチラで求める様にしています。今年、亡くなったペットは、茹でたカボチャが好物だったので、一つ求める事にしました。スイカやトウモロコシ、胡瓜、夏野菜を買って、レジを済ませカートを押しながら、駐車場へ向いました。食材を車に乗せた後、カート置き場に向かうと、コチラを向いて笑顔で私の方を向いて立っている60代位の女性が居ました。「鑑定に来られた女性かなぁ？確かに、何処かで見た様な、、。」でも、その女性は、表情を変える事なく、笑みを浮かべながらコチラを向いて立っていました。目が合った瞬間「こんにちは、、。」と、挨拶しましたが、、返事は有りませんでした。彼女は、私の目を逸らす事無く、その場に立っていました。近く迄来たとき、彼女の頬は痩け、片口から伸びる腕や胸元の鎖骨、肋骨が浮き出る程、骨と皮と言った感じに映りました。目は窪み、眼球は黄疸なのか、微かに黄色く見えました。この女性は、精神的な病気を患っている方なのか、通り過ぎる迄、何一つ表情も変えず、銅像の様に立ち続けていました。彼女の横を通り過ぎようとしたとき、、「すみません、、。」と囁く声がしました。「えっ、、？」と、振り返ると、、もうそこには、彼女の姿は有りませんでした。「幽霊、、？幻覚、、？あんなに、ハッキリ見えるものなの、、？」と、不思議な感覚に包まれました。過去にも、不思議な体験はあるものの、久しぶりに、ハッキリと見てしまいました。こんな不思議な出来事が有った時は、必ず和順庵で祈祷を致します。帰宅後、白井家と和順庵に御縁の有る方々の先祖供養を致しました。行中も、先程の女性の表情が頭から離れませんでしたが、不動明王の真言を唱えるにつれ、次第に私の心中が落ち着いてきました。ですが、「すみません、、。」と言う彼女の囁きは、今も鮮明に覚えています。その時でした、、。ふと、Ａ社長の奥様の事が、頭に浮かびました。あれは、闘病で亡くなられたＡ社長の奥様ではないか、、。今回のＡ社長の倒産の件で、故人迄巻き込んでしまったのか、、。もし、この幻覚がＡ社長の奥様なら、この後、何が待ち受けているのだろうか、、。未だに、Ａ社長から誠意あるお詫びがない事で、亡き奥様が「主人に代わりまして、お詫び申し上げます、、。」という意味だったのか、、。
