智慧の文殊に対し、普賢菩薩は慈悲の実行を
象徴する仏として釈迦如来の脇侍を努めます。
法華経「普賢菩薩勧発品」では六牙の白象に
乗った普賢菩薩が修行者を守護し、理・定・行を
つかさどるとされており、白象が進むとき、それを
妨げるものはないという。
つまり、象は徹底した「行」の象徴であり、白は
衆生済度の「自利利他」の象徴であり、六本の牙は
「六波羅蜜」の象徴であるといわれます。
六波羅蜜のうち、心の安定を修する
行の禅定をつかさどり、一切にわたる
最もすぐれた善を説く菩薩で、密教の
金剛サッタと同体異名ともいわれます。
さらに、この菩薩が発展して密教の
仏として表現されたのが普賢延命菩薩です。
この菩薩の場合は、一身四頭(三頭)の白象に騎乗され、
その名のとおり、寿命を延ばす御利益と福徳を与える仏と
されることから普賢信仰が広まりました。
日本では平安中期以降、女性の救済を説く法華経の普及によって、
主に貴婦人たちから信仰を集めたといわれます。