「もしもし、私はMと言いますが、そちらでは御祓もされてますか?」「儀式的なものですが、やっております。但し、先ずはご本人様の鑑定を致しますので、御祓をするかは、それ次第となります。」「実は私の妻なんですが、長年霊の存在に苦しめられ、、近頃、後頭部にコブが出来てしまい、歩けないほど毎日苦しい状態が続いています。どうか、先生のお力で妻を救って下さい。」との連絡を頂き、後日、和順庵に来て下さいました。ご主人のMさん63才は、警備会社にお勤めされており、奥様47歳は家で引きこもりがちで、気分が向いた時だけ家事をする様です。ここ最近、奥様の状態が良くないので、ご主人も仕事を休む日が続いているとか、、。奥様は憔悴しきった面持ちで、杖をつきながら来られました。奥様を見た時、社会に出ていないせいか、年齢の割には老けて見えました。早速、奥様を鑑定する事にしました。その時でした、、。私の耳元で誰かが囁く声がしました。これは、私の幻覚の様なもので、鑑定する人物になりきる事で、当時の情景が声であったり、映像であったりと、私の感覚に入ってきます。「お前は、どうしてコイツと一緒になった?金目当てか、、?こんなロクでもない女と、、。」と想像もしない言葉が聞こえてきました。ふと、奥様の父親の事が頭に浮かびました。この言葉は、恐らくMさんに向けられたモノだろう、、。奥様の性格は頑固で、愛情が希薄に育った様です。この様な人は、大概父親が厳格である事が想像出来ます。また、他人にはケチですが、自分の事になると浪費癖がある様に思いました。先程の囁きの存在以外、奥様には悪霊的なモノは先程の先祖よるもの以外は感じませんでした。「鑑定結果ですが、悪霊の存在は感じられませんでした、、。これは、奥様が創り出したもう一人の貴女です。」「どういう事ですか、、?先生には分からないんですか、、?私には悪霊が憑いているんですよ、、。先日から行っている滋賀県の女性霊媒師は、私には複数の霊体が憑いていると言われました。また、名古屋の有名なお寺の住職も、先祖が祟っているとの事で数百万払って加持祈祷して貰ったのに、、どうしてですか?」「以前、悪霊に憑依された人を鑑定した事があるので、貴女の症状は霊的なモノではありません。」「では、このコブは何ですか、、?悪霊が溜まっていると、霊媒師は言ってました。今もその方とお弟子さんの女性霊媒師二人がかりで御祓して貰ってます、、。そのお陰で、祓って貰った後は、コブが少し小さくなるんです。」「圧力をかければ、若干小さくなります。コブは脂肪の塊ですので、病気というより整形外科になると思います。因みに、脳外科には行かれましたか、、。」するとMさんが「今、先生が言われた同じ事を言われました。脳には異常ないと、、。」すると、奥様が「ですが、私には分かるんです、、。コレは、霊の仕業であると、、。身体も自分の思う様になりませんし、外で人と会うのが怖くなるんです。」と彼女は、霊の存在を認知して欲しい様です。「ところで奥さん、貴女の父親はどの様な人でしたか、、?」「あの人は、私が鬱病になった元凶、、。6年前に死にましたが、今も父がした事は忘れる事が出来ません。私をバカ扱いして、、。今頃、地獄で苦しんでいるはずです。」と、彼女の顔には、積年の恨みが滲み出ていました。すると、またあの声が私の耳元で囁きました。「お前は、なぜこの女と結婚したやぁ、、。」 次回つづく
