このお話しは、今から7年前に大分県Ｓ市の某ホテルで起こった不思議な体験談です。こちらには、Ｏさん主催の占い会でお招き頂きました。Ｓ駅からタクシーで10分位行くと、この某ホテルがございます。このホテルは出張の際、いつも利用していました。到着すると、ロビーにはタイ人かベトナム人らしき人が沢山いて、中には床に座り込んで談笑する人もいました。Ｓ市は造船所があるので、その企業が招き入れた研修生の様だと思いました。その間を通りながら、フロントに向うと受け付けに出た男性の手首に釘付けになりました。その手首には、幾つものブレスレットや念珠の様なモノが沢山巻かれていたのです。「お客様、本日は満室でして、今日1日だけ７階の〇〇号室に宿泊して頂きます。翌朝荷物をまとめて下されば、私共が2日目のお部屋に運んでおきます。後、何かございましたらフロントにお電話ください。」と言われました。「何かあったら、、、」その時は何も思わなかったのですが、この後不思議な体験をする事になるのでした。外食を済ませ、ホテルに帰ってくると先程の外国人達が、未だフロントで談笑しておりました。部屋に入り時計を見ると、23時を少し過ぎておりました。すると、私の携帯に依頼者Ｏさんから電話がかかってきました。「先生、Ｏです。明日、占い会お願いしますね。明日フロントに9時にお迎えにあがります。アッ、、先生、お部屋なんですけど、フロントで聞きました？」「はい、今日だけ〇〇号室で、明日は別の部屋に移ると、、」「そうでしたか、、じゃあ先生なら大丈夫ですね、、では明日宜しくお願いします。」そう言って電話がきれました。「大丈夫、、何それッ。」と違和感を覚えました。0時を過ぎだ頃、急に睡魔が襲ってきました。「そろそろ寝ようかなぁ、、何っか、この部屋、怪しそうだし、、。」そう思いながら部屋のスイッチを切ると窓から、街灯の灯りがカーテン越しに照らされていました。どれくらい経ったのか、、外の廊下が騒がしい事に気付き目が覚めました。それは、3〜4人の男性が廊下で大きな声で談笑している様でした。「まいったなぁ、、先程の外国人かなぁ、、。」その声はドア越し迄で近づいてきたのです。ところが、よく聞くと日本語を話している様でした。その男達は「何年生まれ、、へぇー、アンタは、そうなん、、。」やたら、自分の出生が気になるのか、その様な話題で盛り上がっていました。その男達は部屋の前に来たと思っていると、今度は私の部屋のドアノブをガチャガチャしだしたのです。酔っぱらって部屋を間違えたかなぁ、、と思っていると、、「ガチャ」と鍵が開く音がしました。「エッ、開いた！」すると、薄暗い部屋に、スタスタと入ってきてデスク前迄来ると、直立不動で窓の方を向いて立っていました。後ろ姿しか見えませんでしたが、半袖・スラックス、髪型もシチサン分けにしている感じでした。ホテルマンかなぁ、、と思いながら「どうかしましたか、、。」と声をかけると、窓の方迄歩いて行き、レバーをガチャガチャしながら窓の外に出る仕草をしました。その時、この世のモノではない事に気付きました。私は悪霊退散の降三世夜叉明の印を結びました。すると男はスーッと、窓に吸い込まれる様にして、姿が消えたのです。まるで、夢を見るかの様に一瞬の出来事でした。翌朝、フロントにＯさんが迎えに来られていました。「先生、この時季はどこのホテルも多くて、、でも、このホテルの７Ｆは普段使ってないみたいで、お願いしたら特別に空けてくれるんですよ。でも、先月法事で集まった親族に、７Ｆを使って貰ったんですが、その中の１組が幽霊を見たらしく、あまりの怖さにフロント横の控室に移った様です。先生は大丈夫でした？」 「大丈夫でしたよ。」 「そうでしたかぁ、、今日は8Ｆですから。」Ｏさんが宿泊費を負担している事も有り、余計な事は言わないでいました。Ｏさんの仕事を終えホテルに帰って来ると、沢山の外国人がフロントで談笑しておりました。「ちょっと、覗いていくかぁ、、」私の興味から、前日宿泊した７Ｆに降りました。すると廊下は薄暗く、掃除道具や機材の様な物があちこちに置いてありました。Ｏさんの言う様に普段、７Ｆは使われてない様です。私が宿泊した〇〇号室は、手前からパーテーションで区切られていて、先に進む事が出来ませんでした。何気に他の部屋を見ると、その一部屋のドアの縁を、ガムテープでびっしり閉じてありました。その光景を見た瞬間、背後に数体の霊気を感じとれました。「ここは、霊道かも知れない。」私は、壁に身体を寄せて、後ろから来るモノに道を譲りながら、その場を後にしました。
