山下選手②

現在、出張中です。線状降水帯、、千葉県に続き北陸地方にも猛威を奮っている様です。昨日27日夕方から、出張先の出雲市も、大雨の影響で来場予定のお客様が、お越し頂けない等、土砂降りの雨が降りました。夕立のレベルを超える激しさです。お出掛けの方は、くれぐれもご注意して下さい。

私は、高校〜大学柔道一直線で、強くなる為にはどうしたら良いか、、そんな事ばかり考えていました。柔道最高峰の天理大学に入学しても、この人には叶わないと、心から思う人は山下選手以外、見当たりませんでした。ですから、当時の柔道家は、山下選手は柔道界の頂きであり、手の届かない存在でした。その選手と練習する機会が有るとは、夢にも思いませんでした。そんな選手を、練習とはいえ投げ飛ばすとは、、。前回のブログの続きですが、皆さんなら、この後の展開はご想像が付くと思いますが、不覚をとった彼の目は、獲物を狩るライオンの目の様に集中しているのが分かりました。先程とは違い、組み合わさる腕の感触は、鋼鉄の様にビクともせず、まるで巨木と向き合っている様でした。次の瞬間、彼は大外刈りをしながら、身体を浴びせて来たのです。この時、コレは真剣勝負だと思いました。倒れた私に向かって、「ヨシ、来いオラッ、、。」と、山下選手とは思えない言葉が出ました。対戦相手をイメージしているのか、体制を充分崩してから、次々と技を繰り出し、私はことごとく、畳に叩きつけられました。しかも、その技の一つ一つが実践さながらで、どの技も、投げ切るだけで終わらず、身体を預けてくるのです。こんな大学生に、ここまでしなくても良いと思うのですが、やっているウチに、この人には、どんな技を仕掛けても叶わないとつくづく思いました。すると、次の瞬間、山下選手は普段使わない「山嵐」という技を掛けてきました。肩エリを持ち、大外刈りの体制に入る危険な技です。すると、私の左膝が彼の腰に巻き込まれるかたちで畳に落ちました。すると、私の左膝が「ブチッ、、」と鈍い音がしたのです。すぐさま、山下選手が「大丈夫かぁ、、。」と声をかけて貰いましたが、激痛の方が優って、、私は、そのままうめき声をあげていました。天理大の監督と選手が駆け寄り、「大丈夫かぁ、、。とにかく運び出そう。」と言って、私の身体を持ち上げ、畳の外に出ました。私は先輩に背負われ、控え室に行き、「今、救急車呼んだから、とりあえず、冷却スプレーで足を冷やしなさい。山下も、アンナに危険な技を掛けなくても、、。相当、お前に投げられたのが悔しかったんだなぁ。山下を神さんみたいに思ってたけど、結局人の子やなぁ、、。ちょっと玄関行って救急車見てくるから、、」と言われて、控え室のソファーに寝かされました。先輩が部屋を出て一人になった時、「この調子だと、お盆休みは何処もいけないなぁ、、。」そんな事を考えていると、誰かが走ってくる足音がしまし、すると、そこには山下選手が汗を流しながら立っていたのです。私は、思わず身体を起こそうとしましたが、山下選手が手で制しながら、「白井君、大丈夫かぁ、、。すまなかった。」と言いながら、私の肩辺りに手を添えながら、「良くなったら、また練習しようなぁ、、。申し訳ない、未だ練習が残っているから、ココで失礼するよ、、。」と言って、深く頭を下げながら部屋を後にしました。私は思わず、「流石、世界の山下やのぉ〜、、。」と叫んでいました。その後、実家に帰り療養しましたが、何処も行く事が出来ず、2週間の夏休みは療養期間となりました。その後、膝の方も良くなり、強化合宿にも幾度か参加しましたが、山下選手と練習する機会は、あの時が最後となりました。でも、数十年経って、彼が車椅子姿になって、私達の前に出られるとは、誰が想像したでしょうか、、。彼の1日も早い回復を、願うばかりです。

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